大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和49年(わ)1375号 判決

一、本店所在地

岸和田市池尻町二五三番地の一

商号

藤原砕石興業株式会社

(代表者代表取締役藤原幸太郎)

二、本籍

和泉市小野田町一〇三番地の一

住居

岸和田市沼町四九七番地の四

藤原砕石興業株式会社代表取締役

藤原幸太郎

大正一四年二月二二日生

右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官相生哲雄、弁護人伊勢ケ谷倍生各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

一、被告人藤原砕石興業株式会社を罰金一〇〇〇万円に処する。

二、被告人藤原幸太郎を懲役一〇月に処する。

同被告人に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人藤原砕石興業株式会社は、岸和田市池尻町二五三番地ノ一に本店をおき、砕石等の事業を営んでいるもの、被告人藤原幸太郎は、右会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人藤原幸太郎は、右会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一、被告人藤原砕石興業株式会社の昭和四五年五月一日から昭和四六年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が七二七一万一三七七円で、これに対する法人税額が二六一〇万六三〇〇円であるのにかかわらず、公表の経理決算上売上の一部を除外しこれによつて得た資金を仮名預金に預け入れ運賃等の経費を架空または過大計上するなどの行為により、右所得金額のうち五〇九七万五〇六七円を秘匿したうえ、昭和四六年六月三〇日、岸和田市土生町二、〇三一ノ一所在岸和田税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二一七三万六三一〇円で、これに対する法人税額七三七万三〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により法人税一八七三万三三〇〇円を免れ、

第二、被告人藤原砕石興業株式会社の昭和四六年五月一日から昭和四七年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が五七〇四万五〇五五円で、これに対する法人税額が一九三五万六三〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額のうち三一一七万八三六八円を秘匿したうえ、昭和四七年六月三〇日、前記岸和田税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二五八六万六六八七円で、これに対する法人税額が七九一万六一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により法人税一一四四万〇二〇〇円を免れ、

第三、被告人藤原砕石興業株式会社の昭和四七年五月一日から昭和四八年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が六七七四万八〇八一円で、これに対する法人税額二二五〇万二八〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額のうち三三一一万七二八六円を秘匿したうえ、昭和四八年六月三〇日、前記岸和田税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三四六三万〇七九五円で、これに対する法人税額が一〇三五万六四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により法人税一二一四万六四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき、

一、被告人藤原幸太郎の当公判廷における供述並びに検察官に対する供述調書

一、大蔵事務官作成の被告人藤原幸太郎に対する質問てん末書二〇通

右のほか、

判示冒頭の事実につき、

一、登記官作成の商業登記簿謄本

一、被告人藤原幸太郎作成の証明書(定款写添付)

判示第一ないし第三の各事実につき、

一、被告人藤原幸太郎作成の確認書

一、吉田豊一の検察官に対する供述調書

一、大蔵事務官作成の次の者に対する各質問てん末書

一、査察官作成の計算書

判示第三の事実につき、

一、岸和田税務署長作成の証明書(昭和四七年事業年度法人税申告書写添付)

一、大蔵事務官作成の次の者に対する各質問てん末書

吉田豊一(昭和四八年九月一八日付、同四九年一月二八日付)、森影純一

一、白野康行作成の供述書

一、次の者の作成した各確認書

中林栄(昭和四八年一〇月九日付、同四九年一月三〇日付)、西辻文博、西河正文、平井保二(四通)、木下勝夫、岩田清三(五通)、奥村恭進

一、査察官作成の計算書

(法令の適用)

一、被告人藤原砕石興業株式会社関係

1. 構成要件 判示第一ないし第三、法人税法各一五九条第一項、第一六四条第一項

2. 併合罪処理 刑法第四五条前段、第四八条第二項

二、被告人藤原幸太郎関係

1. 構成要件 判示第一ないし第三、法人税法第一五九条第一項

2. 刑種決定 判示第一ないし第三 懲役刑選択

3. 併合罪処理 刑法第四五条前段、第四七条本文、第一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に加重)

4. 執行猶予 刑法第二五条第一項

(量刑事由)

藤原ツネ子、吉田豊一(昭和四八年九月一二日付、同四九年一月二六日付)、藤原吉治、山中仲一(二通)

一、次の者の作成した各供述書

吉田豊一(三通)、坂本武美

一、次の者の作成した各確認書

池内宏夫、中林栄(昭和四八年一〇月四日付、同四九年一月一八日付)

一、査察官作成の調査書

判示第一の事実につき、

一、岸和田税務署長作成の証明書(昭和四五事業年度分法人税申告書写添付)

一、大蔵事務官作成の次の者に対する各質問てん末書

吉田豊一(昭和四八年一〇月一六日付)、井上泰広(二通)、川西春信

一、岩田清三作成の確認書四通(但し、検察官請求証拠目録32ないし35のもの)

判示第二の事実につき、

一、岸和田税務署長作成の証明書(昭和四六事業年度法人税申告書写添付)

一、大蔵事務官作成の次の者に対する各質問てん末書

吉田豊一(昭和四八年九月一八日付、同四九年一月二八日付)、藤原茂、川西春信、森影純一

一、次の者の作成した各確認書

中林栄(昭和四八年一〇月九日付)、西河正文、奥村恭進

本件各犯行の動機、態様、結果(とくに、そのほ脱税金額-合計四二三一万九九〇〇円、ほ脱税率-平均約六二・二七パーセント)、犯行後の事情さらに被告会社の事業内容、被告人藤原幸太郎の経歴等を考慮した。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 堀内信明)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例